[反董卓連合の檄文が曹操から発せられた数日後・・・]




「よく集まってくれた。皆に集まってもらったのは他でもない、例の檄文についてだ。
 曹操から送られてきたこの檄文によると、曹操に董卓を討てとの密勅が下ったらしいが…」



  「まあ、はったりでしょう。間違い無く」




「んな事は解っておるわ。天子が勅命を御下しになるとしたら、まずこの袁紹に下されるだろうからな。
 しかしこの際、そんな事はどうでも良いのだ」




「と、申しますと?」




「解らんか?逢紀。この檄に天意がある事を…」



「私もそう思います。董卓を討つ事はまさしく時機に叶い、道に沿う行い…」




「審配殿の言う通りです。天子の庭を踏み荒らす逆賊を討ち滅ぼす事こそ
 代々漢王室に仕えて来た、我ら袁家の務めでしょう」



「う〜ん・・・お前達、何と言うか・・・違うんだなあ」



「は?」



「・・・申し訳ありません殿、仰る事の意味が…」



「カタいのだよ、言ってる事が。
 せっかく曹操が大義名分をでっち上げてくれたんだから〜
 こう…何て言うか、もっと響きの良い…」



「正義のために…ですかな?」



!?



それ!!それだよ田豊君!いや〜心地良い響きだな〜正義!!
 私の言いたい事をズバリ言い当てるとは流石だな田豊!
 なんと言うか、アレだな!年の功って奴か?」



「失礼な…私はまだギリギリ二十代ですぞ?」



「そうだったか?ハハハ、お前老けるのが早いのう!」




(正義のため…なんと青臭い事を…)





(人の上に立ち年齢を重ねても、決して子供心を忘れないとは…
 父上!この袁煕、感服致しましたぞ!)




(田豊め・・・まだ二十代だと?どう見ても四十路に差し掛かっておるではないか!
 年齢を謀りおって!私は騙されんぞ!!)


 

「と言う訳だ。私は董卓の暴虐から天子様を、そして天下を救うために正義の兵を挙げようと思う。
 何か意見のある者はいるか?」




「ゴ…ゴホン 正義はともかく兵を挙げ董卓を討つという考え、大変よろしいかと思います。
 曹操の檄は各地に飛んでいる筈・・・必ずや諸侯も殿に従いましょう」




「大将軍何進の兵を吸収した董卓軍は確かに強大ですが、他の諸侯らの力を結集すれば
 決して倒せぬ相手では有りますまい」



「父上!董卓に我等が正義を見せ付けてやりましょう!」




「よし!皆がそう言うのであれば私が悩む道理は無い。
 正義の名の下に、董卓を討つ!!良いな皆の者!」



「ははっ!!」




「うむ!では皆で正義は勝つ! 」・・・と魂の叫びを響かせて会議を締めたいと思う。
 皆、私の後に続いて叫んでくれ。」



「えっ!?」



「いいですね、是非やりましょう!」



「私も賛成です」



「よ〜し、ではいくぞ?1,2,3,ハイ!」

 「正義は勝つ!!」




「正義は勝つ!!」
 「せ・・・せいぎは・・・勝つ」




「これ逢紀!全く声が出て無いではないか!
 もっと腹から声を出せ!」



「は、はい!申し訳ありません!」




「審配!何だその蚊の鳴くような声は!
 いつもの威勢は何処へ行った!真面目にやらんか!」




「クッ 貴様に言われんでも解っておるわ!
 殿!もう一度チャンスを下され!」



「良いだろう。不完全燃焼は良くないからな。
 もう一度私からいくぞ? 1,2,3,ハイ!」
「正義は勝つ!!」


[タッタッタッタ…ガチャッ」


父上!会議に遅れて申し訳ありま・・・」



「正義は勝つ!!!」



「え!?な、何!?」




[この後に打倒董卓を目的とする群雄が次々と兵を挙げる事になる]
[こうして諸侯の間に袁紹を盟主とした反董卓連合が結成されたのであった]

そして数日後・・・



田豊、いったい諸侯のどれ位が反董卓連合に加盟したかな?」




「そうですな・・・群雄の大体は加盟しましたが・・・
 気になるのは劉表と劉虞殿が連合に加盟せず、董卓と争わない立場をとっている事です」




「ふむ・・臆病者の劉表は仕方ないとしても、仁君として名高い劉虞殿がなぜ…」






「劉虞殿は漢王朝の血筋を引く御方、いくら董卓に擁立されたと言っても
 今の献帝に弓を引くような行為は憚れるのでしょう」




「そうか…同じ名門としては同情を禁じ得ないな…」




「しかし、連合に加盟していない以上、警戒しておいた方がよろしいかと。
 特に劉虞殿は我等が本拠の背後にある都市、薊に居城を構えております」




「ですな。もしも我等が洛陽に兵を向けている間に背後を突かれでもしたら…」



「いやいや、劉虞殿はそんな卑怯な事はしないよ」




「今は乱世・・・いくら徳の高い劉虞殿と言えども安心は出来ません。
 薊の動向には目を光らせておくべきです」




「む〜ん、難しい物だな。気には留めておこう」



「賢明です」




「よし、では今日から董卓打倒のために内政と軍備を整える事にする。
 諸侯の力ばかりアテには出来んからな。田豊!」




「はっ!」




「お前は郭図や陳琳らと協力して内政に従事せよ。
 特に鍛冶、工房などは最優先で設置するのだ。」




「御意!」



「よし。審配や逢紀ら手の空いている者は人材探索を頼む。この南皮に眠る人材を発掘して欲しい。」



「ははっ!」



「よろしい! 袁紹軍は今日から本格的に始動だあ!」




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