[袁紹自らの徴兵によって、本拠である南皮の兵士数は3万8千までに膨れ上がった]
[軍備はほぼ整い、後は田豊が開発中である攻城兵器の完成を待つばかりとなった…]
「お前ら気合を入れろ! 訓練で動けぬ者など戦場では立つ事さえ出来んぞ!!」
「おほっ やっておるな〜! 顔良、兵の訓練は順調か?」
「おお、殿!見ての通りすこぶる順調ですぞ。兵士も皆、なかなか筋が良いです!」
「いやいや、顔良の指導の賜物だと思うぞ?実にあっぱれだ!」
「はっはっは、殿はお世辞がお上手ですな!そのお言葉、ありがたく頂戴いたしますぞ」
「な〜に言っておるか、私は世辞など使った事が無いぞ?
…ところで文醜はどうしたの?」
「ああ、アイツならあっちの方で兵の基礎体力訓練をやってますよ。
俺が実戦訓練担当なのです」
「ふ〜ん、どれどれ…?」
[ザッザッザッザッザッザッザッザ・・・]
「おらおらお前ら!チンタラ走ってるんじゃねえ!!
駆けられない兵など、我が軍には要らんぞ!」
「ほっほう、走り込みか!こりゃキツそうだな。
…ん?アレは・・」
[タッタッタッタ・・・]
「ヒィッ ヒィッ ハヒッ 何で、私まで、こんな、コトを! ゲホゲホッ!」
「し、しんぱいどのぉ!待ってくだされぇ・・
わ、わたしは、もう、げ、限界・・・」
「・・・顔良よ、兵達にまじって審配と顕奕まで走っとるぞ?
やつら訓練に志願でもしたのか」
「いえ・・・おそらく文醜の奴が強引に参加させたのでしょう・・・
あの馬鹿が・・ 止めて来ます」
「いや、面白そうだからもうちょっと見ていよう。」
「えぇ!? ・・いや、殿がそう仰るなら良いんですが…」
「え、袁煕殿、大丈夫、ハァ、ですかな? あ、あまり無理は…」
「も、もうダメ…ぐふっ・・」
「え、袁煕殿おぉぉ!!」
「何だ何だあ?袁煕殿はもう脱落か?情け無いですなぁ」
「わたしは・・・元・・から・・・運動・・・にがて・・・」
「この分じゃ審配もリタイアだろうなぁ!
なんせ、いつも体の首から下は使ってない頭でっかちだもんな!」
「・・・・・文醜、貴様ぁ! 袁煕殿を痛めつけた挙句、この私を頭でっかちだとぉ!?
なめて貰っては困る!私が袁紹軍きっての肉体派軍師だと教えてやるわぁ!!」
[ズオオオオオォォ!!]
「なにぃ!?何だこの加速は!!」
「おお!審配の奴、一気に走ってる兵達の先頭へ躍り出たぞ!」
「さらにどんどん兵達を引き離して行く! 審配殿にあんな底力があったとは・・・」
「うおおおおぉぉ!!文醜、そして兵達よ!剋目せい!!
これぞ昔、陰安のカモシカと恐れられた!審正南の脚力よぉ!!」
「侮っていた・・・審配があれほどの脚を持っているとはな・・・」
「そして今!堂々の・・・ゴォール!!」
「おお!!決まった!」
「お見事!」
「ハァッ ハァッ どうだ文醜…この私の実力…思い知ったか…」
「フン・・・アンタにゃ負けたよ。さっきの言葉は訂正するぜ。
アンタは頭でっかちじゃ無い、文武両道の立派な軍師だ!」
「ふ、ふん・・・解ればよろしい・・・今後は・・・気を付け・・るよう・・・・」
[ガクッ]
「し、審配ィ!」
「お、おい! 審配が倒れちゃったぞ!?」
「・・・遠くからなのでよく解りませんが、恐らく全ての力を使い果たして気を失ったのでしょう。
なに、1日も休めば気が付くはずです」
「そ…そうか、安心した。…審配よ、お前の勇姿、しかと心に刻んだぞ…」
[タッタッタッタ]
「殿ぉ!」
「おう、田豊ではないか。何か用かな?」
「はっ、開発していた攻城兵器が、先ほど遂に完成いたしましたので
ご報告に参りました!」
「おお!その事をスッカリ忘れておった!
遂に完成したか! これで洛陽を董卓の手から奪還出来るな!田豊よ、良くやった!!」
「もったいないお言葉です」
「ぃよっしゃあ! 田豊、皆を招集せい!すぐに軍議を始めるぞ!
今回の軍議は武官も参加してもらう。顔良!文醜を呼んで会議室に集合せい!」
「心得ました!」
[袁紹らは会議室に集合した]
「これより洛陽に兵を進めるための軍議を始める!
逢紀、河北の地図を広げよ!」
「はっ! ・・・ところで審配と袁煕殿の姿が見えないのですが?」
「あの二人は休養中だ。いろいろとあったものでな。
明日か明後日には復帰するだろう」
「二人の代わりに拙者が出席する事になったでござるよ。
袁煕殿と審配殿には、拙者が軍議の内容を伝えておくでござる」
「そ、そうですか。では気にせず始めましょう。
これが河北周辺の情勢となっております」
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「黄色い部分が俺達の軍だな」
「そう。我が軍の周辺を説明すると、右上のオレンジが公孫サンの支配地、北平。
その左の濃い紫が劉虞殿が治める土地、薊です」
「そして茶色い部分が韓プクの治めるギョウで、その隣の薄紫が張楊の支配地、晋陽。
献帝を擁している左下の灰色が、憎き董卓軍の居座る洛陽だな」
「こうして見ると、我が軍は洛陽からかなり離れているな。
兵糧とか大丈夫なのか?」
「その事ですが、我が軍の下にある黒色の地域、平原を見てください」
「・・・あれ?ここは確か誰も治めていない空白土地じゃなかったか?
新しい太守でも派遣されたのか」
「いえ・・・数ヶ月前に、劉辟と名乗る黄巾賊の残党が平原で挙兵したのです。
今はその劉辟によって治められています」
「何ぃ!?」
「黄巾の残党だと!?」
「まだ生き残っていたでござるか…」
「おのれぇ〜!賊の分際で兵を挙げるなど、思い上がるにも程があるわ!」
「仰る通りです。よってまずこの平原を攻め落とし、
対董卓戦の前線基地にするのがよいと思われます」
「なるほど、ここを中継地点にして、兵糧の消費を防ぐという訳だな」
「うむ!良い案だな。前線基地が作れるし、ついでに賊を討伐出来る!
まさに一石二鳥の妙計よ!」
「ちなみに田豊殿、劉辟の軍事力は如何ほど…?」
「兵の数は2万1千となかなかの物ですが・・・肝心の武将がほとんど居ないようです。
我が軍の力をもってすれば、攻略は難しくないかと」
「当然だ!たかが周辺の賊一匹を潰せないで、どうして中央に住まう巨大な奸賊を滅ぼせようか!
皆の者、私は劉辟を討伐する事に決めたぞ! 異議のある者はいるか!」
「異議なし!でござる」
「ならば良し! 各人、戦の準備を整えろ!
袁家の初陣、華々しい勝利で彩って見せるぞ!!」
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