「さて、董卓打倒を再確認したのは良いが…これからどうしたもんかのう?」
「確かに、長安へ本拠を移されたのでは
平原を前線基地にして洛陽を攻撃…という計画も計画も狂ってきますね」
「とりあえずはここ、平原の内政を整える事から始めませんか?
せっかく我が軍の都市になった訳ですし…」
「あっ! そう言えば殿、劉辟達の処遇をまだ決めて無いではないですか!」
「げっ! すっかり忘れておったわ」
「どうするのでござるか? 」
「ふっ 私が賊や宦官を嫌う事は皆知っておるだろう?
処断じゃ処断!」
「処断…でございますか…」
「まぁ 当然だな」
「その話、ちょっと待ったですわ!」
「な、なんだ!? いきなり大きな声出すでない! ビックリするだろうが!」
「わたくしが思うに、劉辟軍のお三方…我が軍に引き入れてはどうかと思うんですの」
「なんと!?」
「蔡文姫殿…確かに人材補強は大切ですが、
彼奴らは賊ですぞ? なにも我が軍に迎える事は…」
「わたくし…洛陽から逃亡の途中、劉辟殿の治めていた頃の平原に立ち寄ったのですが…
平原の民は皆、劉辟殿を慕っておいででしたわ。
彼らは賊であったと言えども、誠実な政治を行っていたと思うんですの」
「ほぅ… 田豊、それは本当か?」
「はぁ…平原の民の話を聞く所、劉辟らは仁政を敷き
周囲の山賊なども、自ら追い払っていたようです。
民からの信頼も篤く、なかなかの太守っぷりだったとか」
「黄巾の残党にしては、まともな政治を行っていたのだな」
「その通り、彼らはただ民を苦しめる賊とは違いますわ。
話せばきっと分かってくれると思いますの」
「むむむ、しかしなぁ…連合の盟主たる我が袁家が
仮にも賊であった者を受け入れてしまっては、諸侯に受けが悪くないか?」
「なに言ってるんですの! ここで懐の深い所を見せておけば
袁家の評判はうなぎ登り! 反董卓連合の結束は
強固な物へ変わりますわ!」
「私もあの三人を受け入れてよろしいかと思います。
確かに平原の治め方を見ると、 悪い人物とも思えません」
「まあ、確かにそこらの山賊とは違うようだし…良いか。
それじゃ、劉辟達を我が軍に加える事にする!」
「異論はございません」
「さすが袁紹様ですわ!」
「甘いと思うが…まあいいか」
[こうして 劉辟、キョウ都、崔エンの三人が袁紹軍に加わった]
「ふん、命あっての物種だ。
これからは袁家の一員として働かせて貰うぜ」
「どうなる事かと思った…」
「我ら一同、この御恩は忘れませぬ」
「妙な真似をしたら、即刻切り捨てるからな」
「まあまあ…」
「さて、とりあえず人材も増強されたわけだが…
まずはこの平原を開発し、力を蓄えよう。
先の展望はそれから考える事にする」
「では、南皮から内政の得意な人材を呼び寄せておきましょう」
「平原を開発なさるならば、ぜひ私をお使い下さい。
この都市の内政は、私が取り仕切っておりましたので
その経験が役に立つと思います」
「ほう! ではお前が平原に仁政を敷いていたという事か。
お前の政治は民草になかなかの評判だったと聞くぞ?」
「いえいえ…私如きの痴政は大した事ございませぬ。
民の勤勉さが平原を支えていたのですよ」
「な〜に謙遜してんだよ崔エン」
「俺が言うのもなんだが、崔エンの能力はかなりのモンだぜ。
なんせ崔エンのお陰で、俺らはほとんど政治にノータッチだったからな」
「なるほど、そういう事だったのか…
まあ…お前ら二人だけで都市を治める事など出来ないだろうしな」
「ほっとけ! 俺は肉体派なんだよ!」
「そうだそうだ! 俺らは俺らで山賊の討伐とか大変だったんだからな!」
「あ〜分かった分かった。
ではお前らの力も存分に活用させてもらう。
平原を存分に栄えさせて見せよ!」
「おうよ!!」
「崔エンも我が軍の者達と協力し、平原の開発に尽力せい!」
「ははっ!」
[その後、南皮から李孚や陳琳など内政を得意とする者達を呼び 袁紹軍は本格的に平原の開発を開始した]
[また 人材の面では…]
「袁紹様〜」
「おう、なんだ蔡文姫。平原開発は順調か?」
「それはもちろんですわ。それに加えて…
今日は袁紹様にこのお二人をご紹介に参りましたの!」
「程秉(テイヘイ)と申します」
「私は戯志才と申す。
我ら二人、この度は袁家に仕官させて頂きたく思い
袁紹様へお目通り願った次第です」
「彼らはわたくしの友人ですの。
お二人ともなかなかの智者で、袁紹様の助けになると思いますわ♪」
「それはありがたい! ぜひ我が袁家に力を貸して頂こう!
して、二人ともなぜ我が軍に仕官しようと決意されたのかな?」
「………」
「蔡文姫殿が…我らの家の門前で 毎夜毎夜、陰気な歌を歌い続けて…
仕官してくれるまで、歌うのを止めないと言って聞かず…」
「まぁ!陰気な歌だなんて心外ですわ!
わたくしはただ、お二人を説得するため、
袁家の素晴らしさを讃えた歌を歌っていただけですのに…」
「…………」
[蔡文姫 才女の名に違わず 連続して二人の人材を説得する事に成功 ]
[人材も強化され 袁家はまさに順風満帆に見えたが…]
「殿! 客人でございます」
「どちら様だ?」
「北海の太守、孔融殿からの使者、王修殿です」
「おぉ、孔融殿からの! 確か彼は反董卓連合に加盟していたな。
もしや共同で董卓を攻撃する作戦かな?」
「さあ? 詳しい話は殿に合ってから…との事でしたので」
「うむ! ならば早速会うとしよう!
あまり待たせては失礼だしな」
[〜謁見の間〜]
「王修殿、よくおいでなさった! 今回は…」
「貴軍との同盟を、今日を持って解消していただきたい」
「……え?」
「貴軍は反董卓連合の盟主であるにも拘らず、田舎の賊退治に明け暮れているご様子。
実際に董卓と矛を交えているのは、曹操と馬騰のみと言う有様。
このような状態では、貴軍を連合盟主として仰ぐ事は出来ぬと孔融様はお考えです」
「何だとぉ!」
「無礼ですぞ王修殿!
我が軍には我が軍の考えがあり、
決して董卓討伐の志を忘れている訳ではない!」
「とにかく、要件は以上です。
それでは失礼させていただく」
「ま、待たれよ! 王修殿!」
「………」
「と、殿…」
「な…何たる事だ……」
[この孔融軍の離反を機に 反董卓連合は形骸化し 事実上の崩壊を迎える事になる…]
「おい蔡文姫よ…劉辟らを登用すれば、
連合の結束は強固になるのでは無かったのか…?」
「ら〜♪ 人の心は〜うつろい易い〜♪
他人の心を〜見極める事など〜♪誰ができようか〜♪
あなたの心も〜わたくしから遠ざかり〜♪」
「歌って誤魔化すな!!」
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